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原宿駅での死闘
今からもう30年近く前のこと、私はブルースリーに憧れて『燃えよドラゴン』を観ま した。その翌日、『沖縄正統空手道』という古流に近い空手道場に私は入門したので した。20才の時でした。
立ち方は全て猫脚、蹴りは前蹴りを含め全て指を立てると言う流派でした。
始めて、一年ぐらいしたある日の事、私は東京・山手線・内回りの満員電車に乗って いました。身じろぎも出来ないほどのギュウギュウ詰めでした。その時、私の左足を 思い切りハイヒールの踵で踏みつける女が居ました。
目の前の女です。誰かの足を踏んづけている事は本人も充分わかっている筈でした。 私は思わず、前蹴りで目の前の女の足を後ろから蹴り上げていました。思いきり蹴り 上げたので確かな手応えを感じていました。
それから10秒・15秒したでしょうか、何事も無く何のリアクションも無いまま、原宿 駅に着いて電車のドアが開いたのです。今でもそのシーンが目に焼きついています。 ゆっくりとドアが開きました。それと同時に、ある男が振り向き、私の肩をとんと叩 き『コッチヘおいで』と手招きするのでした。
明らかにその筋の男でした。体格はあまり大きくは無い。60キロ弱でしょうか。春で したから薄手の長袖シャツ・ズボンと言う格好です。私は空手をやっていたとは言 え、その当時45キロぐらいしか在りませんでした。
私はなんという失敗をしたのでしょうか?女性だと思って思いきり蹴った相手が、お そらくこの男だったのです。電車の中では無言でした。男の顔には静かな怒りが見て 取れました。
私がホームに降り立ったその時、正にその時、間髪を入れず何の言葉も無いまま右上 段回し蹴りが、私のコメカミを狙って放たれました。あまりに緊張していて私は今で もそのシーンが恰も映画のスロウシーンを見る様に思い出されます。
何故かはっきり見えました。私はそのまま本能的に左腕で上段受けをしました。体全 体で受けるように受ける事が出来ました。我ながら驚くほどスムーズに体が動いたと 思います。
予期に反して、男の上段回し蹴りは全く威力の無い物でした。一瞬でしたが私はホッ としました。
上段回し蹴りが受けられたと見えた次の瞬間、その男はひざまずきながら、右のすね から隠されていたナイフを抜いてそのまま突いて来たのです。流れるようでした。何 のためらいも有りません。動きに全く無駄がありません。
私は『刺される』と思いました。相手はプロでした。 私は踵を返して、プラットホームの端へ走り抜け、線路に降り、逃げました。男はそ こまでは追って来ませんでした。
恐ろしい経験でした。 それ以降私は、電車の中で何があっても黙っています。
2004/07/29:S・Hさん
そうなんです・・・何がそうなんですって、まずB・リーですね。 あの当時いかに影響力が大きかったか、今の若い人には見当もつかないことでしょう。 そして反射的に蹴っちまったりすること・・・あるんですよねこれが。 どちらかというとやはり突きより蹴りですね。
そしてもう一つ・・・原宿駅での死闘と言えば ・・・私は23年ほど前で、駅前ですが・・・ いずれにせよ古きよき時代を彷彿とさせていただきました。 ブーツナイフもよき?時代のアイテム・・・
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